プレゼンテーション模型とスタディ模型とは?違いをご紹介!

公開日:2023/04/15  最終更新日:2023/02/24


建物の模型と一言で表現しても複数の種類が存在します。また、活用する場面や目的なども異なります。今回の記事では、よく混同されがちなプレゼンテーション模型とスタディ模型の違いを紹介します。これから建築業界で活躍したいと考えている人は、この記事を参考にしながら、両者の違いを理解しておきましょう。

プレゼンテーション模型とは

プレゼンテーション模型の対象は顧客です。そのため、打ち合わせのときに使用されることが多いです。

顧客に完成イメージを見せるために制作する

たとえば、注文住宅を建てるときに平面図だけ見ても実際の建物のイメージが思い浮かびにくいので、顧客に完成イメージを見せるために制作しています。店舗を構える場合も同様です。スケルトンの物件からどのように店舗として外観や内装が変化していくのか確認できます。実際のイメージと平面図を立体的にした完成図が異なれば、打ち合わせのたびに修正を顧客から依頼されるので、再び制作することになります。

スタディ模型とは

スタディ模型とは、設計の内容を設計士や建築士が確認するために制作します。模型を制作して設計を修正する作業を繰り返していきます。

スタディ模型を制作する目的

設計図を見てすべて漏れなく確認できるわけではありません。それは、家づくりの専門家である設計士や建築士も同様です。また、家を建てるときの材料の見積もりや予算の見積もりにも活用できるので便利です。

設計初期に制作するもの

最初から細部にこだわった模型を制作すると二度手間になってしまいます。構想段階の模型は完成度にこだわりません。むしろ、形をイメージできるくらいの模型で十分です。

設計内容が決定する頃に制作するもの

建物の詳細が決まってくる頃に制作します。設計図に記載している柱や梁の数や位置は適切かどうか、屋根の大きさや角度に問題はないかなどを確認できます。立体的にイメージすることで不備を発見できます。

大規模開発計画のときに制作するもの

都市開発などの場面で活用されています。たとえば、主要駅ターミナルの改修工事や大型店舗の建築などにより、周辺環境だけではなく人の流れがどのように変化するのかを捉えた模型です。主要駅ターミナルが改修されることでレストランやショップに立ち寄る人が増加するのであれば、そのような模型を制作すると良いでしょう。未来を予想しやすくする狙いがあります。

住民に説明するときに制作するもの

建築の専門家ではない人に模型を活用して説明する場面があります。たとえば、新しい高層マンションが建てられることにより、周辺の環境がどのように変化するのか模型を使用して住民に説明する場面です。建築に詳しくない人に説明するときは、その人に合わせたものを制作するようにします。この際、イメージしやすいように、建物だけではなく緑や人なども模型のなかに入れることで、実際に生活しているイメージを連想させやすくします。

ボリュームスタディとは

こちらは本格的な模型を制作する前に、大まかな模型のイメージを複数パターン用意することを指します。複数のパターンを用意することで、模型の比較と検討ができます。そのなかから最適なパターンを選択するようにします。これは、模型の制作が順調に進行したタイミングで方針を転換することは時間のロスになるので、それを防ぐ狙いもあります。

材料について

大がかりな材料を用意する必要はありません。家庭にあるものを使用することも可能です。材料は、カッターナイフやカッターマットなどです。専門的な材料として模型定規があります。こちらは三角定規のような形状をしていて、正確に手早く長さを測定できるので便利です。

そのほかに必要な材料として、ピンセット、ボンド、接着剤があります。工作で頻繁に使用するハサミ、のり、セロハンテープは使用しません。正確性が求められているからです。なお、模型の制作は専門学校に通学して学ぶだけではなく、自宅で通信講座を受講して学ぶことも可能です。

プレゼンテーション模型とスタディ模型の違い

両者は混同されがちですが、まったく異なるものです。

意味と役割が異なる

プレゼンテーション模型は顧客に見せます。建物の完成図をイメージしやすくするために制作します。

スタディ模型は設計者用です。顧客を対象にしているものではなく考案するために制作します。設計図どおりに建物が完成するかどうか検証するために用いられるものなので、両者の意味と役割は異なります。

まとめ

模型の制作は一度で終了することはありません。スタディ模型の場合は、設計図の修正と模型の制作を何度か行うことになります。時間と労力がかかりますが、こちらの作業を疎かにすると、建物の外観デザインや内装の不備が起きるだけではなく、建物の性能にも悪い影響を及ぼします。そのため、きちんと段階に応じた模型を制作していきましょう。また、模型を制作するときは、対象となる人と目的を意識することが大切です。これらの違いを押さえておき、今後の業務に生かせるようにしておきましょう。

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