50分の1ってどれくらい?模型制作で欠かせない縮尺(スケール)の知識とは

公開日:2023/02/15  最終更新日:2022/12/27


模型制作をするうえで欠かせない知識として、縮尺(スケール)があります。制作するものの大きさが大きければ、実物大の模型を作るだけでも非常に大変です。そこでスケールをうまく活用して模型を作り、さまざまな場面で役立てていくのです。今回はスケールの基本的な知識について説明し、その必要性や計算方法を詳しく掘り下げていきます。

模型制作で縮尺(スケール)の知識は必須

模型制作をするうえで、スケールの知識は欠かせません。実物と同じ大きさの模型を作るのは、いろいろなことを試算するうえで確かに便利だといえます。ただ、作るものが大きくなればなるほど、それは現実的ではなくなってしまいます。

そこで、模型を作る際には本物がどれくらいの大きさなのかをはっきりさせることが重要です。スケールとは英語で「縮尺」「比率」という意味を持つ単語であり、これから作る予定のものを決められた大きさで忠実に再現したものがスケールモデルになります。すでに実在するものや過去に作られたものを模型にすることもあります。全体の大きさだけでなく、細かい部品や各部の寸法も一定のスケールによって縮小・拡大される点が特徴的です。

スケールの知識がなぜ必要なのか、それはスケールについて理解していなければ、模型を見ても実物の大きさが分からないからです。10分の1スケールで作られた1mの模型があれば、全長はもちろん各部品の大きさも10倍になります。明確な基準を決めておいて、それを模型作りに応用させるのです。

模型は鉄道や船などの乗り物はもちろん、住宅や施設の完成予想図として広く活用されています。完成時の大きさによりますが、基本的には50分の1や100分の1、200分の1など50や100で割り切れるキリのよい数字が採用されています。大きなものをつくるほど、スケールも大きくなる点が特徴的です。

スケールモデルの必要性

スケールモデルは、単に寸法はそのままに小さいものをつくるためだけに存在するのではありません。研究するためや展示するため、サンプルを展示するためなど、さまざまな意図で制作されます。スケールモデルとは実物を忠実に再現したものという意味合いがあり、より正確に作られた模型のことを指します。

実在するものだけでなく、構想段階で作るのを断念してしまった航空機や戦闘機、架空の機械なども、設定をきちんと再現していればスケールモデルになるのです。航空機をつくるメーカーでは新しい機体のスケールモデルを作り、どの程度の風や雨に耐えられるか、翼・本体の性能や耐久性はどの程度かという実験を行うのに活用されています。耐久実験をクリアしたモデルは、そのまま実用へと進んでいきます。また、顧客(ユーザー)に説明する際に使われる模型としての役割も果たしてくれるのです。

日本の模型で多いスケール

スケールは数字の数だけ種類があるといっても過言ではありません。日本でよく用いられるスケールとして、35分の1スケールがあります。これは田宮模型やガンダムのプラモデルシリーズの1種などに使われています。ガンダムのプラモデルは、ほかに60分の1、100分の1、144分の1などが採用されている種類もあるのです。また、自動車大国である日本の自動車モデルのスケールは20分の1が一般的です。日本型の鉄道模型は80分の1、150分の1が多くなっています。

スケールの計算方法

実際にスケールの計算方法について説明します。50分の1というスケールを設定して計算します。実際の寸法の50分の1ということは、1m(1,000mm)のものが2cm(20mm)で表されるということです。50分の1のスケールで作られたものが単純に50個集まると元の大きさになります。これはあくまで二次元的な考えであり、模型などの三次元モデルに関しては一概に当てはまらないですが、イメージとしてとらえてください。

50分の1スケールの模型を渡され、たとえばとある一片の大きさが1cmだった場合、実際の大きさは1cm(10mm)×50=50cm(500mm)になります。図面に描く際にも、スケールを記入してそれにすべての辺や部品を適用させていけば比率はそのままにより見やすい図を作ることにつながっていくでしょう。

スケールが変われば模型の大きさも変わる

50分の1のスケールで説明しましたが、スケールの値が変われば模型の大きさ、図面で表されたときの大きさも変わってきます。実寸を図面に表す場合「実寸÷スケール」で長さを計算してください。

まとめ

模型制作におけるスケールの重要性について解説しました。スケールとは縮尺や比率のことであり、模型制作するうえで欠かせないものの1つです。船や車、航空機など、実物大のものを作って実験するのはあまりにコストパフォーマンスが低く、企業にとっても大きな損失につながる恐れがあります。そこで、必要に応じて適切なスケールの模型を作成し、実験を行ったり商品の魅力を顧客に伝えたりするのです。とあるスケールで模型や図面を作成するとき、大きさは「実寸÷スケール」で表すことができます。ぜひ今回の知識を活用して、欲しい模型のサイズを考えてみてください。

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